アトピー性皮膚炎のお話
アトピー性皮膚炎はかゆみを伴う湿疹が繰り返しおきる皮膚病です。その多くにアレルギー体質が関与していますが、アレルギーの関与がはっきりしない人(20%程度)もいます。アレルギーをおこす物質をアレルゲンといいますが、年齢によってアレルゲンは変化します。乳児期から幼児期までは、アレルゲンは食物特に卵、牛乳、小麦などが多く、年齢とともにこれらに対するアレルギーは少なくなっていきます。成人になるとハウスダスト、ヒョウヒダニ、ペット、花粉、かびなどに移行します。治療においては、このアレルゲンをつきとめ、アレルゲンから回避することが重要になります。
前述しましたように、アトピー性皮膚炎はアレルギーのみでおきるわけではありません。アトピー性皮膚炎にできる皮膚病変は湿疹で、湿疹はそのほとんどが皮膚に外来刺激が加わり、その防衛反応による炎症が原因で起きる皮膚病と考えられています。アトピー性皮膚炎の皮膚には、皮膚の角質にあるセラミドという皮脂成分が少ないことが知られています。皮脂成分は皮膚のバリア機能にとって重要で、これがないと外来刺激の影響を強く受けてしまいます。汗やよごれ、下着の刺激、洗剤、刺激の強い石鹸、こすりすぎるという摩擦、静電気等の刺激によって湿疹ができやすい体質といってもいいかもしれません。
その他にもアトピー性皮膚炎の原因として、いろいろなものが考えられています。しかし、まだ充分解明されていないことが多い皮膚病です。
アトピー性皮膚炎の治療について
治療の基本は、スキンケア、かゆみのコントロール、アレルゲン除去と考えます。
スキンケアは夏は汗と汚れ、冬は乾燥に対して、季節に応じたきめ細かいスキンケアが必要です。入浴、保湿剤の使い方など直接指導させていただきます。
かゆみはもっともアトピー性皮膚炎を悪化させる原因です。かゆみのため、掻いたりこすったりすることで皮膚を傷つけ、アレルゲンや刺激が皮膚に侵入しやすくなります。そのためぬり薬だけでなく、かゆみや炎症を抑える抗アレルギー剤ののみ薬を使って掻破することを防ぎます。
アレルゲン除去は、本当に原因になっているアレルゲンのみ行います。食物アレルギーの場合は、のみ薬で腸から吸収されるアレルゲンをブロックすることもできます。